東日本大震災の発生から多くの時間が経過しようとしていますが、現在においても復旧・復興は未だ道半ばであり、特に産業復興に至っては遅々として進んでいない状況にあります。
また、復旧・復興が被災地のみの問題として風化しつつある中で、東北復興が国家的大事業であることを改めて認識し、今こそ国民の総力を結集しなければならない時期にあると考えます。このような状況の中で、東北拠点の企業や有力者から是非とも東北復興に関わり、これまで培ってきた自然再生技術を生かして東北の地域にふさわしい緑地形成を進めて欲しいという要望を受けました。
今日までも日本企業の持つめざましい技術開発や進歩によって、安価で高機能な商品やサービスの提供が受けられ、人々の暮らしは本当に豊かになってきました。
一方では、人々の暮らしから「その土地ならでは」の郷土色や「その時期・時節ならでは」の季節感といった伝統的な生活文化が失われていく風潮にあります。この復興の時期と合わせ、自然再生技術協会の関係者とともに地域の伝統文化・風景を後世に残していきたいと考えています。
このような環境を実現する為には、自然の持つ環境復元力を最大限に生かし、また、わが国の緑づくりの中で培ってきた高い技術を利活用するしかないと考えています。
自然再生技術協会は、高い生物の多様性、地域性の豊かさ、優れた修景性を持ち、循環型経済の実現に寄与できる緑づくりの考え方を取り入れ、広く緑づくりに携わる人々の英知を集めて、この緑化を実現すべき時期と判断しました。
現在、東北復興に向けた明確なビジョンを掲げ、従来の技術に加えて新しい設計や地域にマッチした緑化手法を積極的に取り入れ、震災復旧にとどまらない抜本的な緑地デザイン、植栽技法を駆使した先進的な自然再生を行っていきますので宜しくお願い致します。
自然再生技術協会 会長 黒田満治